建設現場で発生する土砂のこと。正式名称は建設発生土と言います。
建築工事及び土木工事などでは、一度地面を掘り起こして構造物を作った後に、最初に掘り起こした土を地面に埋め戻しますが、この際に構造物を造ったがために埋め戻しをしても土が余り、この際に余った土砂がのちに残土となります。
また、残土には土砂や土地造成の目的にとなる土砂に準ずるものと、港湾や河川等の浚渫に伴って生ずる浚渫土、その他の種類があります。
なお、土砂自体は廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しませんが、コンクリート片や木片など、産業廃棄物に該当するものが混入している場合は、土砂も含めて産業廃棄物に該当し、この状態の土砂は残土とは呼ばず再利用することもできません。
前項で述べた通り、産業廃棄物に該当するものが混ざった土砂はそのまま再利用することはできません。
そのため、土砂に混ざってしまって いるコンクリート片や木片などは個々の処分を行っている処分場へ搬出し取り除いてもらうする必要があり、これらを取り除いた状態の土砂が正式に残土と呼ばれるようになります。
そして、残土となった土砂は、コーン指数と呼ばれる土の硬さを示す数値や、含水率と呼ばれる土に含まれる水の比率、土の粒子の大きさなどをもとに下記の5段階に区分されています。
このように5段階に区分された残土は、上から順にやわらかい土になっており、第3種建設発生土以下に区分される残土は、石灰を混ぜて改良土として再利用される場合もありますが、再利用については次の項目にて細かく説明します。
残土は国土交通省により定められた利用基準により、その土の特性に応じた適用がなされ、先ほど紹介した、コーン指数、含水比、粒子の大きさ等の基準で判定が行われます。
これにより、埋め立て工事や工作物の埋め戻し、土木工事の込め道路工事の盛り土など、その土の特性に則した最適な再利用がなされています。
また、前項にて第3種建設発生土以下の残土は石灰を混ぜて再利用される場合もある。と述べましたが、石灰を混ぜる他にも、泥土などは、土に含まれる水分を抜いた後に薬剤を混ぜて硬くして再利用することもあります。
なお、かつては建設現場で構造物を造るために掘り起こした土砂は敷地外に処分し、そのうえ埋め戻しに使う土砂には、新規に購入した別の土地の土砂を充てていました。
つまり、工事のたびに現場とは別の土地から土砂を掘っていたのです。
そのため、このころは土砂を掘った土地の景観破壊や土砂災害などが度々問題になっていました。
しかし現在は、公共工事においては現場から出る残土を有効利用するために、新規に土砂を
購入することはなるべく減らし、個々の工事間で残土の流用を図ることを原則にしています。
さらに、残土を埋め立てに利用しようとする場合、県や市町村によっては「残土条例」
と呼ばれる条例により適切な埋め立てが求められるほか、農地法など関連法令を遵守し
て行わなければならなくなったため、無法地帯とも呼べた残土処分のあり方は、以前に
比べると人の居住環境を第一に考えた適切な処理がなされるようになったと言えます。
ただし、新規に土を購入することが規制された一方で、余った土砂が不法に投棄される
問題は根深く残り続けているようです。
「残土問題」というワードはご存じでしょうか?
正しくは「残土の不適切処理問題」と呼ばれているこの問題は、ゼネコンをはじめとする残土処理に関わる事業者が利益を追求し、残土処理に割く費用を抑えた結果、残土が国有地や私有地、山や道路沿いなどに不適切に投棄されている問題のことを指し、これにより土砂崩れや、粉じんの飛散、生態系の破壊などを招いており、なんとこの問題は1990年ごろからずっと続いているのです。
ただm残土の約9割は公共工事由来によって発生しているため、この問題の責任は国にあり、国が法的な整備を整えればいい。という見方もできるのですが、そもそもこの問題には、残土が廃棄物ではなく資源として扱われていることが大きく関わっています。
というのは、資源である以上、残土には市場原理が働くのですが、この市場原理には「買う人と売る人がいる物に対して国が厳格に規制するべき対象ではない」といった旨の前提が存在するために、残土問題を国が解決することは難しいのです。
ただ、残土を資源として位置づけているのも国であるため、もし仮に国が残土を廃棄物として扱うようになればこの問題も解決に向かう可能性はあります。